原状回復という言葉を知っていますか?原状回復とは、借りていた人が故意・過失に関わらず、傷つけてしまった部分の回復を行うことで、通常、入居時に預かった敷金から費用が差し引かれます。しかし、事業用と住居用では全く異なる意味で使われています。今回は、事業用と住居用の原状回復の違いと敷金のルールについてご紹介します。
事業用と住居用の原状回復ルールは大きく異なる
住居用の場合、通常消耗分は家賃から償却されているという見方で考えられており、借り主が故意・過失によって傷つけてしまった部分の回復として原状回復が求められます。しかし、事業用の場合は異なります。事業用の場合、「どのような使い方をするか想定ができない」という考えに基づき、通常消耗分を含む全体の原状回復を行わなければなりません。つまり、借りた当初から壊れている部分でも、その場で申し出ない限り、自身が壊したとみなされ、請求されるというわけです。
居住用スペースを利用したオフィスは住居扱いの場合も
マンションの一室などを借りて事業をしている場合、事業拡大でオフィスを借りるために退去したら、住居扱いで原状回復費用を抑えることができたというケースもあります。このように、マンションなどの居住用スペースを使って仕事をする場合、居住扱いになり事業用のルールが適用されないこともあります。
オフィスの敷金の相場は?
オフィスの敷金の相場ですが、賃料の6カ月から12カ月程度分と言われています。例えば、月5万円のオフィスであれば30万円から60万円が敷金になります。ただし、不動産業者によって異なるため、一律にいくらであるとはここでは言えません。不動産業者に問い合わせて確認することをおすすめします。
敷金はそっくりそのまま戻ってくるとは限らない
敷金というと、入居時に預けたお金で退去時に返ってくると思われがちですが、それは違います。敷金から、原状回復費用が差し引かれ、さらに事業用の場合、償却費が有る場合は引かれます。償却費は、無条件で差し引かれるもので、賃料の10%から20%程度が相場と言われています。
敷金は返還時期にも注意
敷金は、すぐに返ってくる場合と来ない場合があります。退去時にオーナーと話をし、その場で査定してもらい返してもらえればよいですが、後日になると返ってこないケースがあります。その場合は、1カ月ほどしてから催促してみると良いでしょう。敷金のルールはややこしく、オーナーともめてしまうケースが後を絶ちません。入居時に必ず確認し、敷金や原状回復のルールについて納得がいくまで話し合っておくことが重要です。