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2017.08.02

オフィスの原状回復!免除されるのはどういうとき?

起業を志している、今の事務所が手狭になっているといった理由で新しい事務所を探している場合、自社で費用を負担して建設すると多額の費用が必要になってしまいます。賃貸オフィスのメリットは建設する場合と比べて費用負担が少なくすむことですが、実は個人に貸す賃貸住宅と企業に貸し出す賃貸オフィスでは原状回復の考え方が異なります。よく理解した上で探すようにしましょう。

オフィスの原状回復の基本は借主負担

個人に貸し出す賃貸住宅の原状回復については、基本的に自然損耗による部分は貸主負担になります。借主が負担する範囲は自然損耗以外の借主の不注意や故意によって損傷した部分についてのみです。しかし、賃貸オフィスについては、基本的に自然損耗かどうかに関わらず全てが借主負担になります。これは賃貸オフィスでは個人に貸し出す賃貸住宅と異なり、パーテーションの設置やインターネット回線などの内装工事をかなり大規模に行う可能性があるからです。また、業務の内容によっては内装の消耗する度合いが高いものもあるために全て原状回復を行った状態で戻してもらうという契約が多くなっています。

経年劣化したビル設備の交換費用

個人では経年劣化した設備の交換費用は貸主側が負担しますが、オフィスビルにおいては先ほど述べたように経年劣化したものも基本的には借主側が負担します。ただし、あくまで原状回復の範囲で直せば良いので、無理に最新式のモデルを購入して前の設備よりグレードアップをする必要もありません。元々付いていた設備と同程度の機能を持っている設備費用を負担すれば十分です。

貸主指定の工事会社のミスによる破損

契約内容によっては退去時の原状回復を貸主指定の業者で行わなければならない場合もあります。そのような場合にもし、工事会社のミスによって内装が損傷してしまったときには、その工事会社のミスであることを借主側が証明できないと原状回復費用に上乗せされて請求される恐れがあります。工事会社を指定できない場合は、証拠として工事前に内装部分の写真を撮っておくことをおすすめします。

直射日光や寒暖差で生じた窓ガラスの亀裂

直射日光や寒暖差で生じた窓ガラスの亀裂に関しては確かに借主側の責任ではありませんので、個人の賃貸住宅であれば貸主の負担になります。しかし、賃貸オフィスの場合先ほどから述べている理由により、契約書内に「経年劣化の部分まで借主が原状回復する」というような文言が書いてあると問題が複雑になります。窓ガラスの亀裂が経年劣化とみなされれば、借主が負担しなければならない可能性がありますので、契約書をよく確かめた上で大家さんに連絡してみましょう。

原状回復特約による免除

原状回復特約とは本来貸主が費用負担をしなければならない、自然消耗や経年劣化という部分についても借主負担にすることができる特約です。しかし、借主がよく把握していないうちに契約を結んでいるケースもあり、トラブルが多く起こっていました。そのため平成17年に最高裁では、「原状回復特約が適正と認められるためには、賃貸借契約書の原状回復をする条項に修繕をしなくてはならない箇所を具体的に明記するか、口頭でしっかりと説明してその旨を借主が明確に認識している場合」という判断が下されました。逆にいうと契約書に明確に書いていない場合や、口頭でしっかりとした説明を受けていない場合には免除されるということになります。
ここまで述べてきたように賃貸オフィスの原状回復は個人に貸し出す賃貸住宅とは大きく異なります。原状回復費用は場合によっては高額になることもありますので、よく契約書を確認した上で契約するようにしましょう。