法人としてオフィスを借りる場合には、個人とは違う書類を用意しなければなりません。法人には、個人の写真付き身分証明書のような手軽なものはないためです。しかし用意するものの考え方は、個人と通じるものがあります。必要な書類を知って、段取りよくオフィスの申込を済ませましょう。
法人契約か個人契約かで段取りが異なる
法人が賃貸契約を結ぶときには、その企業の代表取締役といった個人ではなく、法人という人格と貸主が契約することになります。そこで個人の身分証明書の代わりに、法人の存在を証明したり、その業務内容を説明したりする書類が必要になってきます。
また個人契約では賃貸するにあたって連帯保証人がいりますが、法人は代表取締役とは別人格という扱いなので、代表取締役が保証人になることができます。
法人契約の申込で用意する書類はこの3つ
法人の賃貸契約では、法人の存在を証明し、その概要が記載されている登記の履歴事項全部証明書、法人の印鑑証明書、そして法人の概要書の3つが必要書類です。
履歴事項全部証明書は内容的には登記簿謄本のことですが、現在はデータ化されて扱われているので名前が変わっています。履歴事項全部証明書と印鑑証明書は法務局で取得できます。法人の概要書は、会社のパンフレットなどのことです。ホームページを持っているなら、それで代用することもできます。
法人契約の基本的な流れは?
賃貸したいオフィスがあるなら、入居申込書に必要事項を記入して申込を行います。オフィスのオーナーは記入された内容と添付書類を元にして、法人の信用調査や審査をします。
審査で問題がなければ、賃貸契約の締結になります。そして契約日までに、法人は敷金に当たる保証金の全額をオーナーに振り込むことになります。契約の時点で、手付金が必要になることもありますが、オーナーによるので確認しておくと良いでしょう。
各書類を用意するタイミングは?
入居申込書には、履歴事項全部証明書と会社概要を添付しなければなりません。履歴事項全部証明書を取得するためには最寄りの法務局に登庁することになりますが、オンラインや郵送で申込むこともできます。直接出向けば当日中にもらえますが、それ以外の方法では数日掛かります。
印鑑証明書は契約のときに必要になります。こちらも法務局に直接出向くか、オンラインと郵送で請求ができます。しかし、あらかじめ法人の所在地を管轄する法務局で印鑑カードを作っておかなければ発行してもらえません。契約時には履歴事項全部証明書も再度用意します。
損益計算書や貸借対照表を求められることも想定しておく
法人としてオフィスを借りる際には、損益計算書や貸借対照表のような決算書も審査のために提出しなければならないことがあります。法人の経営成績や財政状態が、オーナーによる信用調査の参考資料になるからです。
設立年数が短い、規模が小さいといった法人は、オーナーの審査が厳しくなる傾向があります。必要書類の提出でもたつくのは、心証を悪くするだけでメリットはありません。必要書類の種類を前もって知り、早め早めに用意することが、オフィス賃貸のための効率を上げ、オーナーへの印象も良くすることが期待できるでしょう。